農産物には農林水産省が定めた「農産物規格規程」という品質を保つための基準があります。
それは国内産小麦も外国産小麦にも設定されています。
粉にしてしまえば、正直わからないのでは?とも思ってしまいますが、形だけでなく様々な規程があるのです。
今回は、日本の農産物規格規程について詳しく見ていきたいと思います。
「農産物規格規程」に定められていること
それでは、早速みてみましょう。
産地品種銘柄
農産物は、公正かつ円滑な流通を促進するため、一般的に農産物検査法に基づく検査による銘柄証明や格付けが行われて流通しています。
皆さんもご存知ではないかと思いますが、お米は農産物検査の証明を受けた場合のみ「品種」、「産年」の表示ができます。
この証明を受けることができるのは、産地品種銘柄に設定されている銘柄のみなのです。
お米とは違い小麦は基本的に一般消費者に流通しないため、表示の制度で決まりはありませんが、お米同様に定められています。
農産物規格規程:農林水産省の「4.小麦」→「(2)銘柄」→「イ 普通小麦」の産地品種銘柄の欄を見ていただければわかるのですが、
北海道以外にも、岩手県や長野県でも多品種栽培されているみたいです!
1. 品位
ここでは、等級を決めるための基準が定められています。
等級は、品質の幅をいくつかの階層に分けたものです。
普通小麦、強力小麦とも1等、2等の2区分に格付けされます。
農産物の生産は、土壌や気象、収穫、乾燥などの条件の違いによって、性状が異なるためです。
これらの等級に格付けできないものは、規格外となります。
小麦→小麦粉→パンに引き継がれる段階で、求められる品質の項目は異なります。
今回は小麦を小麦粉にする上で求められる小麦の品質を紹介していきます。
まず、容積重です。
これは1リットルあたりの重量を表し、少ないと粒が小さいことを意味します。
小麦粉にするのにも量が減ってしまいますね。
つまり、容積重は「重いこと」が求められるのです。
続いて整粒です。
粒の大きさ。目開き2mmの篩で上に残る健全な粒。
続いて形質です。
皮部の厚さ薄さ、粒ぞろい、質の硬軟、粒形、光沢など。
そして重要なのが水分!
小麦を小麦粉にして、パンにする段階で水分量はとても大切になってきます。
水分は少ない方が良いとされています。
それは、水分が多いと貯蔵・流通中に虫害やカビの発生が起こってしまうためです。
(ちなみにカビは水分活性0.80以上で繁殖するそうです。
ジャムや味噌は水分活性0.80ほどだそう。)
なので、国産の小麦は農協の乾燥工場で乾燥し、12.5%以下にしているそう。
(詳しい方読んでくださっていたら教えてください)
あと、好ましくない要素として、これ以上あったらダメだよという基準があります。
例えば、病気を持った粒や異種穀粒(小麦以外の穀類の粒のこと)は少なくしましょうという基準です。
さらに詳しく! ※ざっと読みたい方は飛ばしていただいて結構です。
それぞれ用語の定義が定められているのでよかったら参考にしてください。
定義一
百分率―全量に対する重量比をいう。ただし、なまぐさ黒穂病粒率、硝子率及び発芽率の場合を除く。
二 容積重―ブラウェル穀粒計で測定した一リットルの重量をいう。
三 整粒―二ミリメートルの縦目ぶるいをもって分け、そのふるいの上に残る健全粒をいう。
四 形質―皮部の厚薄、充実度、質の硬軟、粒ぞろい、粒形、光沢等をいう。
五 水分―もみの定義の水分に同じ。
六 被害粒―損傷を受けた粒(発芽粒、病害粒、くされ粒、たい色粒、虫害粒、砕粒、熱損粒及び種子小麦についての芽くされ粒、胴割粒等)をいう。ただし、普通小麦及び強力小麦にあっては、被害が軽微で小麦粉の品質及び製粉歩合に影響を及ぼさない程度のものを除く。
七 発芽粒―発根又は発芽している粒及び発根又は発芽のこん跡のある粒をいう。
八 赤かび粒―赤かび病菌等に侵されて赤色を帯びた粒をいう。
九 黒かび粒―かび又は菌等に侵されて黒色を帯びた粒をいう。
一〇 異品種粒―その品種以外の小麦の粒をいう。
一一 異種穀粒―小麦を除いた他の穀粒をいう。
一二 異物―もみの定義の異物に同じ。
一三 麦角粒―麦角菌菌糸のかたまり及び麦角菌に侵された穀粒をいう。
一四 なまぐさ黒穂病粒率―なまぐさ黒穂病菌に侵された粒の供試した粒に対する粒数歩合をいう。
一五 硝子率―整粒中の硝子質粒の供試した整粒に対する粒数歩合をいう。
一六 発芽率―摂氏二〇度で八日間以内に発芽した正常発芽粒の供試した健全粒等に対する粒数歩合をいう。
一七 健全粒等―健全粒、成熟していない粒及び被害粒(原形の二分の一以下の砕粒を除く。)をいう。
一八 たんぱく質―窒素定量法により換算値五・七〇を用いたもの又はこれと同等の精度でその測定結果が得られる近赤外分析計を用いて測定したものをいう。
一九 で ん 粉―落球粘度計により測定したものをいう。
(農産物規格規程:農林水産省より引用)
2. 成分
続いて成分です。
この項目では、たんぱく質とでん粉が検査されます。
最終製品のパンや麺にする段階でも大事ですね!
ただ、小麦はたんぱく質量が全てではなく、たんぱく質の質やでん粉の質も品種によって異なります。
詳しく言えば、遺伝子が違うので、北米産と北海道産でたんぱく質量は同じでも、異なる製法で異なるパンができるのです。
個人的にその辺りをもっと勉強できたらなと思っています。
外国産小麦は輸出国での検査と日本での受け入れ検査と2つあります。
今は民間の登録検査機関の農産物検査員が検査しているそう。
外国産麦については、また勉強してから書きますので、よろしくお願いいたします。
さいごに
最後まで読んでくださり、ありがとうございました。
これからも小麦について調べ、まとめていきたいと思っています。
よろしくお願いいたします。