今回は、小麦と製粉の歴史についてご紹介します。
歴史なんて興味ない~という方もいらっしゃるかもしれません。
私もそうでした。
美味しいパンが食べられればなんでも良かった…
しかし、歴史を知れば今がわかる!未来がわかる!と言われるほど、
歴史は大事なんじゃないでしょうか。
ルーツを知ってパン屋さん巡りをしたら、もっとパンを食べる事が楽しくなりますよ。
パンを食べることをより楽しいと思えるよう、皆さまのお役に立てればと思っています。
小麦と製粉の発展を世界史と交えて、解説していきます。
小麦の起源と製粉技術の変化
小麦の伝播
現在使われている普通小麦の祖先は、二粒系小麦→一粒系小麦に遡ります。
原始の小麦である一粒系小麦は、コーカサス地域からチグリス、ユーフラテス川地域を原産地と言われています。
そこからエジプト、ヨーロッパ、アジアへ伝播されたと言われています。
中東は宗教の誕生した地であったり、世界の歴史に大きな影響を与えた土地だったんですね。
粒食から粉食へ
小麦の粒は美味しくなかったんですね。粉にして練った無発酵パンを食べるようになりました。
古代エジプトでは石の上で粉を挽く女奴隷の副葬品が発見され、石を前後に動かして挽く製粉を行っていたことがうかがえます。
その後、石臼のくぼみは深くなったり、回転させてたりと改良されていったそうです。
←回転式石臼
しかし改良されたとはいえ、石臼製粉はその後4千年にわたって使用されています。
現在でも、石臼製粉のパン屋さんを見かけますね。
どんな特徴があって、今でもあえて使用しているのでしょうか?
製粉動力の変化
小麦粉の需要が次第に増加するにつれて、製粉の動力は変化していきました。
人・畜力製粉
紀元前200年頃、奴隷の労働力や家畜の力を動力として利用する方法が考案されました。
このことはローマ人によって発明されたようで、ポンペイの遺跡も明らかにこれを示しています。
当時、帝国を築き、各地を征服していた共和制ローマでは奴隷を働かせていたんですね。
風力・水力製粉
その後、ギリシャで水力を動力とした製粉が発明され、内陸の河のない地方では、風力を動力とした製粉が発明されました。
風力・水力を使った製粉方法は、ヨーロッパの各地へ伝えられました。
しかし、中世時代は絶対王政だったので、完全に国王によって統制され、進歩が見られなかったそうです。
製粉技術の各国における発展
17世紀頃から、製粉技術は急成長します。
アメリカ🇺🇸
アメリカでは、動力資源がなかったため、機械化・自動化が早く進み、新たな製粉工業として大きく発展しました。イギリスの産業革命でもたらされた蒸気力も導入していました。
アメリカはイギリスから逃げてきた移民によって作られた国であり、労働力が無かったので、機械化が進んだのですね!
また、石臼製粉からロール式製粉というものに変わりました。
お米は回転する羽を使って、摩擦でぬかを取るらしいです(ざっくり調べた感じ)。
しかし、小麦の皮はお米と違って硬いので、2つのロールを合わせてすりつぶすように皮と分離していきます。
イギリス🇬🇧
一方で、植民地を持っていたイギリスでは、奴隷の労働力があったため、石臼製粉が主流でした。
しかし、自国の小麦は貧弱だったため、アメリカなどから入った良質な小麦粉が輸入されました。
確かにイギリス小麦はあまり聞かないですね。
それに対抗し、国内の製粉会社は、輸入小麦を製粉するためにロール式で製粉を取り入れなければなりませんでした。この頃から、内陸部ではなく湾岸部に製粉工場ができるようになりました。
フランス🇫🇷
フランスの製粉技術はヨーロッパ諸国の中では発展していたそうです。
しかし、フランス革命の続く戦乱により、アメリカ式製粉工場の導入は遅れてしまったそうです。
イギリスが産業革命で花開いている時代、フランスにとってはとても厳しい時代です。
ドイツ🇩🇪
ドイツでは、第一次世界大戦後における発達が目覚ましいものでした。
篩機の考案など、アメリカでさえなかったドイツの特殊性のある優れた技術として評価されたそうでう。
現在の製粉
現在は、完全自動化の段階式製粉が採用されています。
自動化することで、計画的に生産ができ、人々への小麦粉の安定供給を可能にしています。
小麦粉の万能な力に感謝、、、
※世界史については諸説あります。また、本記事は2021年1月29日時点の情報を基に記載しております。
さいごに
今回は、「小麦」と「製粉」の歴史について、本を読んで私なりにまとめました。
各国の政治状況が小麦の発展に影響していたことがわかりました。各国で製粉技術が発展していくことで、多種多様なパンができあがっていくのですね。
この各国の独自性がパンの魅力のひとつですよね!!
日清製粉グループでは、群馬県館林市に製粉ミュージアムが開設されていますね。
今はコロナで休館されていますが、再開されたら行ってみたいと思います!
次回は、「パンの歴史」についてご紹介します!
(参考資料:「小麦の科学」
「いちばんくわしいパン事典」
「小麦粉-その原料と加工品-」)